ブルワリーを立ち上げて分かったこと

ブルワリーを立ち上げて分かったこと

設備より先に
設計が必要だった

2024年6月、富士河口湖町西湖でブルワリーを始めました。

古い建物を改装して、醸造設備を搬入して、配管して。
タンクが入った瞬間は、正直ちょっと震えました。

「いよいよ始まるな」と。

でも今振り返るとあの時はまだ半分しか始まっていなかったんだと思います。
ブルワリーはビールを仕込めば回る仕事ではありませんでした。

免許よりも、その後のほうが難しかった

免許取得は大変です。
書類も多いし、設備も整えないといけない。

でも本当に難しかったのはその後でした。

どう売るのか。
どう知ってもらうのか。
どう続けるのか。

正直最初は手探りでした。

Instagramはやっているけれどこれで本当に来店に繋がっているのか分からない。
Googleマップは登録したけれど活かせているのか不安。
タップルームに人が来る日は嬉しくて静かな日は不安になる。。。

仕込みよりも販売と発信のほうが頭を使いました。

広告費ゼロでやろうと決めた理由

「お金がなかったから」というのももちろん少しありますw
でもそれだけではありません。

これまで広告代理業として多くの取引先のプロモーションをサポートしてきました。
検索導線を設計し、写真を整え、言葉を磨き、発信を組み立ててきた立場です。
だからこそ、自分たちのブルワリーで実証したかった。

本当にこのやり方で通用するのか。
理論ではなく、現場で結果が出るのか。

広告に頼らず、GoogleマップとInstagramと自社サイトだけで、どこまでやれるのか。
それを自分たちで試したかった。

ある意味、実験でした。

派手ではありません。
でも積み重ねは裏切りません。
レビューは自然に増え、海外からのお客様も少しずつ訪れ、前年同月比で直営店は成長を続けています。

「やってきたことは間違っていなかった」

そう思えた瞬間が、何度かありました。

ブルワリーは製造業であり、ブランド業

ブルワリーは少し特殊です。

製造業でもあり、飲食業でもあり、観光資源にもなり、地域の物語にもなる。

味が良いだけでは足りない。
でも味が良くないと始まらない。

設備も必要。
でも設備だけでは続かない。
全体設計が必要なんだと後から気づきました。

販売チャネル、導線、ストーリー、写真、レビュー、卸戦略。
それらが一本の線で繋がっているかどうか。

ビールを醸すのと同じくらい、設計も醸す必要がありました。

最近、相談に来てくれる人がいる

ありがたいことに、これからブルワリーを立ち上げる方が、相談に来てくれるようになりました。

免許取得直前の方。
設備搬入を終えたばかりの方。
地元原料100%に挑戦しようとしているチーム。

皆さん、ワクワクと同時に少し不安も抱えています。

話を聞いていると「ああ、自分も同じだったな」と思う瞬間がたくさんあります。

仕込みはなんとかなる。
でもその先が見えない。

だからまずは経験をそのまま共有しています。

うまくいったことも失敗したことも。

売り込むつもりはありません。
ただ、少し先を歩いた人間として話ができるだけです。

だから、伴走という形にした

自分が立ち上げ当初に欲しかったのは、“答え”ではなく、“整理してくれる人”でした。
何が足りなくて、どこから手をつければよくて、何を後回しにしていいのか。
それが分かるだけでずいぶん楽になります。

だから、ブルワリー立ち上げ伴走プログラムという形にしました。

特別なことはしません。設計を一緒に考えるだけです。

ブルワリーは、孤独だけど面白い

仕込みの日は、早朝からタンクの前に立ちます。

ひとりではありません。
でも、小規模ブルワリーは人数が多くありません。

それぞれがいくつもの役割を抱えています。

醸造、営業、発信、経理、掃除。
一つの作業を終えたら、次の帽子をかぶる。

とくにボトリングの日はなかなかの修行です^^;
機械の音だけが響く中、同じ動きを何百回も繰り返す。
泡の具合を見て、液面を見て、キャップを締めて。少しのズレも気になる。
単純作業のようでいて集中力との戦い。あの時間は静かな孤独です。

でも、嫌いじゃない。

その積み重ねが、一本のビールとして誰かの手に渡る。
ブルワリーという仕事は、華やかに見える瞬間よりも、こういう時間のほうが圧倒的に長い。
だからこそ、面白いのかもしれません。