キッチントレーラー制作の裏側
西湖でブルワリー・タップルームを始めてからずっと頭のどこかにあったことがあります。
「ここに来てもらう」だけではなく、「こちらから届けに行く」こともできないか。
西湖という場所は静かでとてもいいところです。ただその分ふらっと立ち寄るには少し距離があるのも事実です。河口湖へ旅行に来てたまたま通りかかるような場所ではありません。
富士吉田での海豚ポップアップやPICA富士西湖さんをはじめ各地でのイベント出店を重ねる中で、ビールそのもの以上に、その場で出会う体験のほうが印象に残るのだと感じるようになりました。
だったらその体験ごと運べたらいい。
そんな発想からキッチントレーラーの制作が始まりました。
(もちろん、イベントで数多くの出店者が並んだ際にキッチンカーやキッチントレーラーの存在感が羨ましかったというのも正直ありますw)
既製品ではなくブランドとしてつくる
トレーラーは探せばさまざまな選択肢があります。ただ、どこかで違和感がありました。どれも“売るための箱”としては完成されていますが、自分たちのブルワリーの延長として考えたときに、少し距離があるように感じたのです。
AIM Brew LAB.は、古民家を改装してつくった場所です。
木の質感や、少しラフな雰囲気、整いすぎていない感じも含めて自分たちらしさになっています。
だからこそトレーラーも、ただ目立つものではなく、ちゃんと馴染むものとして設計することにしました。デザインも含めて自分たちでつくることを選びました。

多くの手で形になったトレーラー
今回のトレーラーは、決して自分たちだけで完成したものではありません。

タップハンドルに使っている鹿の角。
タップタワーやその設置。
コールドテーブルへの穴あけ施工。
鹿の角の加工。
その一つひとつを、AIM Brew LAB.を応援してくださっているお客様が手を貸してくれました。プロとして関わってくださった方もいれば、純粋に「面白そうだから」と関わってくださった方もいます。
気がつけばトレーラーはつくったものというより、みんなで出来上がったものになっていました。
写真に写ることを前提に設計する
イベント会場では、誰かが必ず写真を撮ります。ビールを手にした瞬間や、友人と笑っている何気ない時間。その背景に、トレーラーが写り込みます。
だからこそ、ロゴの位置や光の当たり方、
夜の見え方まで含めて設計しました。
実際に出店してみると、想像以上に「写真に写る」ことの影響は大きく、SNSに投稿された一枚一枚がそのままブランドの印象につながっていきます。

やってみて初めて分かること

もちろんすべてが順調だったわけではありません。
最初の出店では、泡だらけになったこともありました。ラインの長さやガス圧、外気温の影響など、ブルワリーの中では起きなかったことが現場では起こります。
ケグのサイズや回転も、実際に運用してみて初めて見えてきました。しかし、それらはすべて使いながら設計していくプロセスでもありました。
図面上ではなく現場で調整していく。
その感覚はどこか建築にも通じるものがあるように感じています。
タップトレーラーはもうひとつの拠点
気づけば、このトレーラーは単なる販売手段ではなくなっていました。西湖のタップルームがベースだとすれば、トレーラーはもうひとつの拠点です。
場所が変わることで、出会う人も変わります。
その場の空気や流れる時間も違います。それでも、そこで提供しているのは同じビールであり、AIM Brew LAB.の延長線上にあります。
つくる場所と、届ける場所。
その間を行き来できるようになったことは自分たちにとって大きな変化でした。
デザインは「使われて完成する」
今回のキッチントレーラーは、自社で実際に運用しているからこそ見えてきたことが数多くあります。
見た目のデザインだけではなく、どう使われるか、どう見られるか、どう写真に写るか。
そして実際に売れるかどうか。
エイムではこうした実運用の経験をもとに、キッチンカーやトレーラーのラッピングデザインに加え、横断幕・ポスター・メニューPOPなどのツール制作にも対応しています。単にデザインをつくるのではなく、その先の「使われ方」まで含めて設計すること。
このトレーラーは、その考え方を形にした一つのプロジェクトです。
